大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和34(オ)485 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人弁護士中田長四郎の上告理由第一点について。

論旨は、まず原判決は、上告人主張の債権譲渡の事実の存否について判断遺脱が

あるというが、原審は、右債権譲渡の通知の事実を否定したものであつて、その否

定は挙示の証拠関係に照しこれを肯認することができる。そして、原審は、右の通

知否定の認定の下に仮りに控訴人(上告人、原告)が訴外会社からその主張のよう

な債権の譲渡を受けたとしても、その譲渡は被控訴人(被上告人、被告)に対抗す

ることができないものといわなければならないと判断したものであつて、その判断

は正当である。されば、原判決には所論の違法はない。

次に、所論の事前に通知して立ち会わせ訴外会社をして上告人に対する木材代金

の支払をさせる旨の契約については、原判決は、控訴人の全立証を以てしても認め

られない旨判示し、その判示は本件証拠関係に照し肯認できるから、この点につい

ての所論は、事実認定の非難に帰し採るを得ない。

また、上告人の共同不法行為および民法七一五条による使用者責任に関する予備

的主張を排斥した原判示を正当として肯認できるから、この点に関する所論も採る

ことができない。

同第二点について。

しかし、所論の債権譲渡の事実を説明通知した旨の主張は、原審でなされなかつ

たところであるから、原判決には所論の違法は認められない。

同第三点について。

被上告人の吏員が被上告人の請負代金債務の支払について請負人の債権者にその

- 1 -

支払の日時、場所を通知してやると言明するような行為は、その吏員の職務の範囲

内の行為とはいえないとした原審の判断は正当である。それ故、所論も採ることが

できない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 下 飯 坂 潤 夫

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!